歴史的な建物再生の発見〜「小さなスケッチ旅行」記〜



はじめに

まちづくりの仕事に携わっていると、色々なまちを訪れる機会があります。調査の仕事でまちなかを歩き回っていると、地域の歴史を語っているような古い建物が残っている風景に出会うことがあり、何かほっとする気持ちになります。

まちは、人々が生活し、働き、学び、遊び、憩う、ステージであり、時が移り人々の価値観や文化が変わると、大切にされていた建物も時代に合わせて取り壊され、新しい建物にその場を譲ります。しかし、人々の営みを記憶している古い建物は、私たちの心の中に「何か大切なものを忘れていませんか」と問いかけているようです。

歴史的建物の保全だけでなく建物が新たな役割を担うよう様々に活用されることにより、まちの活性化が成功した事例は多く報告されていますが、私たちの周辺でも、建物の保全と巧みな活用が行われているものと思います。そこで、面白さ、楽しさ、美しさ、潤いを感じるように再生した建物を発見する「小さなスケッチ旅行」を計画しました。

今後、旅のスケッチは定期的に報告させて頂きますので、各地で建物の保全・活用を考えておられる方々に参考として頂ければ幸いと思います。


スケッチブック(写真をクリックすると詳細データが表示されます)

*このデータは10年以上前のデータを参考に作成しており、現在の用途は一部異なります。近日中に更新の予定です。


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フジハラビル詳細データへ

1999年8月2日現在

  • 名称:フジハラビル
  • 所有者:藤原 英祐 氏
  • 住所:大阪市北区天神橋1-10-4
  • 建設年:大正12年
  • 構造:RC
  • 階数:B1 F4
  • 用途:ギャラリー、宝飾店、フランス料理レストラン

→フジハラビルの詳細データ


■フジハラビルへの感想

建物は天神橋筋商店街の南端を少し東に入ったところにあり、周辺はかつて大阪の台所を支えていた食品関連の卸売商店・会社などやマンションが立地する商業・業務・住宅が混在する市街地です。一帯には、雰囲気のある建物も残っていますが、多くはマンションなどに変貌してしまいました。

現在の所有者の方は昭和55年に相続されて以来、長い月日をかけて建物の雰囲気を生かした改修を重ねられ、ほぼ建設当時の様子が復元されています。

建物のコンセプトを生かすようテナント選びは慎重に進められ、現在ではギャラリー等の評価も高く、文化的な拠点施設として多くの人々で賑わっています。

このように現代に生きた形で建物の保全が行われていることは、大いに評価出来るものと思います。今後とも建物改修とその使い方について観測を続け、定期的にアップロードしようと思いますので、ご期待下さい。

末尾ながら、調査にご協力いただきました藤原様には、厚くお礼申し上げます。







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